腕イッポン日記 2025年 春
私が腕一本と言う生き方に憧れ、
仕事から帰ると毎日欠かさず作業着に着替えコスプレを楽しんでい
そんな事をしていると時折、人には気易い人がいるもので、
そんな時私は苦し紛れに「しゅ、しゅ、しゅみで、も、
そして中には更に奇特な人がいて、なるほどそうか、
私はうろたえました。
「わ、わかりました、でき…ます…よ、たぶん…」
ものづくりしてる。そうなんです。
さいわいにも頼んでいただいた人に喜んでいただきこの度、
『何事も十年休むことなく毎日続ければ必ず腕一本になれる。』
かつてこの事をなにかの本で聞きかじった私はいたく気に入り自ら
「大野さん、あの十年続けたらってハナシ、あれ、
あの時確かに脳天を撃ち抜かれるズキューーンと言う音が響き渡り
十年腕一本。ならばコスプレは十年経てばどうなるか?
腕イッポン日記 2022 秋
皆さんの仕事場には仕事着や制服はありますか?
私の職場には特に決まった服装はなく動きやすければそれでよいの
そんななので、
しかし隣りの芝は青い、
床屋さんの腕まくりした白いシャツにエプロン、素敵です。
車の修理屋さん、半袖のつなぎからニョッキり突き出た逞しい腕。
夕暮れ時、
あーいい、仕事着、いい、いい!
一方の私はと言えば生まれてこの方、
そんな私なので仕事着を着る人の中でも特にその身一つ、
ああ、しかし、どうやったら今さら味わえる?!
「そうだ、作業着、着よう。」
私の出した答えがコレでした。
作業着着て腕いっぽんの人気分味わったらええやん、そーやん。
腕いっぽんと言って思いつくのは、まず職人さんだよな、
ではとて更にポチッと購入したのは、
もうワクワクの止まらない私だったが、おい待て、
そっか!作業帽な!腕いっぽんは常に危険と隣り合わせ、
完璧な腕いっぽんを手にした私は早速、週末、
早速、ご近所の方と遭遇。
あ、どど、どーも…。
目が泳いでどっかへ逃げた。私はやや強めの人見知りなのだ。
くっそー、恥ずかしい。そうなんだ。
自分にそう喝を入れて、少しずつ距離を伸ばして行き、
そしてついに今日、かの世界都市、シルクロードの最果て、
「仕事ついでに奈良に寄って正解やったなぁ」
「せやな。父さん、今度は仕事抜きで来たいな」
「…せやな」
人間、
次はあなたの街に腕いっぽんでお伺いするかも。
夢日記 その3
高層ビルの様なバスを運転する運転手。運転席と乗客席は最上階にある。私は乗客として運転席後方に座っている。運転手は制帽を目深に被っているので顔は見えない。折り目正しい制服が何故かプラスチックのパイプを連想させる。バスの遥か下の道路を見下ろす。碁盤の目の様な道路の前後左右を米粒ほどの大きさの車がひっきりなしに並走、または交差している。
こんなに高くて巨大な物をちゃんと運転できるのか?真下の様子などほとんど分からないではないか?私は言いようの無い不安に駆られる。
そんな不安をよそにバスは走り続ける。
市街を抜け山のトンネルに差し掛かる。
高層ビルの様なバスが通過できるトンネルがあるはずない。しかし、そこに私のイマジネーションは働かない。バスは難なく通り過ぎ、出口に差し掛かる。と、出口付近の黒いアスファルトの帯が突然、真っ白な雪の帯に変わる。あ!っと思った瞬間、運転手はハンドルを右に切った。高層ビルの様なバスは横ざまに回転、雪の帯の上をそのまま滑っていく。運転手は必死にハンドルを左右に振り回し高層ビルの様な車体を立て直そうとしている。その必死さは常軌を逸している。やっとの事で前向きに態勢を戻し、ほっとした次の瞬間、真下に渋滞の列。急ブレーキをかけるが間に合わず、高層ビルの様なバスははるか下の米粒の様な車をガシャガシャ押しのけ、圧し潰していく。運良く脇に押し分けられた車の下から女が両手を上げた状態でにょきっと現れたのが見えた。まなこを上に向けいかにも死んだ、と言う芝居掛かった表情。高層ビルの様なバスは無数の米粒の車を正に寿司詰め、ぎゅうぎゅうに詰め切った所で止まった。
ああ、大変な事になった…この様子ではどれほど死人が出た事かわかりはしない。
これは大変な事になった…
だが、これは私がやった事じゃない、やったのは運転手なのだと内心胸を撫で下ろしている。
ふと、運転手を見る。
運転手はハンドルに絡まった様な格好で顔を埋ずめている。プラスチックのパイプの様だった制服は溶けてしまったかの如く歪み、複雑なシワの文様を運転手の背中に刻ん込んでいる。それは何故か深い海の底を連想させる。絶望感が運転席にウワンウワンと音も無く反響している。
私は気の毒さを感じると同時にこの運転手が生身の人間だった事に改めて驚く。
運転手は身じろぎもせずうずくまっていたが、決意したのか急に立ち上がり、真ん中の通路を後方の出口に向かってツカツカ歩いて出ていった。
この高層ビルの様なバスの中では逃げ場は無い。観念し自首するのだろう。
しかし、こんな高層ビルの様なバスを運転させられ、一生を無駄にするとは。
私はますます運転手が気の毒になった。
過去のひとり言はわたくしのブログ「あだばえの花」adabae.com
に収録していきます。
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